荒神の杖譲り/諸塚・桂神楽スケッチ「神楽と仮面の民俗誌<企画5-5>」

諸塚・桂神楽スケッチ/諸塚神社秋季例大祭&桂神楽奉納:ライブペインティング/「神楽と仮面の民俗誌<企画5-5>」

     ☆

荒神の杖譲り】

荒神

神主に引き出ものにてひきたてまつろう

このつえと申するは

かどにたつればきちじょうてんの

やらいのふだとなり

寝床にたつればこうとくじのふだとなり

四方のいぬいの隅にたつれば

ふっきまんぷくのつえとなる

このつえをわれ荒神

引き出ものにてたてまつろう

     ☆

桂神楽では

神楽の開始に先立ち

二体の荒神が出て

神主と問答をする

長い問答の中で

宇宙星宿の理<ことわり>

四季五行の法則

神楽の由縁などが説き明かされ

荒神

村に幸を授ける宝の杖を神主に渡して

神楽が開始されるのである。

渡来の文明神と先住神たる自然神との出会いと激突、

相克と和解・協調の物語――

神楽の場に怒り出て来た森の神・荒神

渡来の民族の祭祀者である神主と対話し、

村人の仲裁によって和解する。

ここにこそ、

神楽の真髄が語られている。

 

諸塚・桂神楽スケッチ/神楽と仮面の民俗誌<企画5-4>

【諸塚神社秋季例大祭&桂神楽奉納:ライブペインティングの収穫/今季の「神楽紀行」が始まった】

 

 

中庭の大樹の下のアトリエに、前日の収穫を持ち出し、焚き火をしながら、珈琲カップを片手に眺める。至福の時間。猟犬が、猪や鹿などを仕留めて来た時、狩人の横で俺が獲った獲物だ!!というような、得意げな顔をして控えていることがある。カワウソが獲物を巣の前にずらりと並べてお祭りの供物のような風情が現出することがある(獺祭という)。

 

この日の私は、それらに似た表情をしていたかもしれない。今年の3月から6月まで、激烈な全身の神経痛に襲われ、寝ることも立ち上がることもできない状況にあり、今季の釣りも神楽取材も無理かな、と思っていただけに、この回復度はありがたい。宮崎県諸塚神社の秋季例大祭(10月18日)で、午前10時過ぎから午後5時まで、桂神楽が奉納された旧・立岩小学校の体育館(雨模様のため神社での開催から移動)にいて、描き続けたのだった。無理をしないように、飛ばしすぎるなよ、と自分に言い聞かせ、休憩を挟んで旧知の取材仲間や村の人たちと交流しながらのライブペインティングだったが、思いがけずに成果が得られ、身体の痛みも出ていないので、まずは安心。これから濃淡を付けたり、文字入れをしたりして仕上げにかかる。

今季の「神楽紀行」の始まりである。

 

おしえて神楽仙人:神楽の秘密・謎・神秘―諸塚・神秘の山地神楽とは/森の空想ブログ<25-10>

おしえて神楽仙人:神楽の秘密・謎・神秘/神楽と仮面の民俗誌<企画5-3>

明日(10月13日午後1時30分~)

諸塚村しいたけの館21ライブラリーコーナー

「高見乾司の神楽スケッチ―神秘の山地神楽とは―」

の会場にて。

30年以上、神楽を伝える村に通い、絵を描き続けて「神楽仙人」と呼ばれる高見翁が、諸塚神楽の魅力や知られざる山地神楽の秘密などについて語ります。すでに学術研究所、写真集、写真、動画など、多くのメディアで取り上げられている諸塚神楽。それなのに、なぜ、「絵で描く」のか。一晩中、舞い続けられる神楽を描き続けるのはなぜか。芸術としての神楽と絵画を通して、神楽の「感動」、神楽に隠された「秘密・謎・神秘」など、神楽の深層を語ります。ご参加をお待ちしています。

 

 

おしえて神楽仙人:神楽の秘密・謎・神秘―諸塚・神秘の山地神楽とは/森の空想ブログ<25-10>

おしえて神楽仙人:神楽の秘密・謎・神秘/神楽と仮面の民俗誌<企画5-3>

明日(10月13日午後1時30分~)

諸塚村しいたけの館21ライブラリーコーナー

「高見乾司の神楽スケッチ―神秘の山地神楽とは―」

の会場にて。

30年以上、神楽を伝える村に通い、絵を描き続けて「神楽仙人」と呼ばれる高見翁が、諸塚神楽の魅力や知られざる山地神楽の秘密などについて語ります。すでに学術研究所、写真集、写真、動画など、多くのメディアで取り上げられている諸塚神楽。それなのに、なぜ、「絵で描く」のか。一晩中、舞い続けられる神楽を描き続けるのはなぜか。芸術としての神楽と絵画を通して、神楽の「感動」、神楽に隠された「秘密・謎・神秘」など、神楽の深層を語ります。ご参加をお待ちしています。

 

 

神楽を伝える村へ/神楽と仮面の民俗誌<企画5-2>森の空想ブログ<25-09>

諸塚村へ通っている。

連続企画/神楽と仮面の民俗誌「高見乾司の神楽スケッチ―神秘の山地神楽とは―」がはじまっているのだ。

途中、お気に入りのスポットで弁当を食べる。

夏はいつの間にか過ぎ、深まりつつある秋を愛でる。

     ☆

【神楽を伝える村へ】

山を越えて行くと、遠い峰の向こうから、神楽笛の音が響いてくることがある。宮崎県には、総数300座を超える神楽が伝承されており、秋から冬、そして春へかけて、山深い村々や海辺の里で、終夜、神秘の舞が舞い継がれるのである。神楽の場に、荘厳な仮面神が現れ、優美な舞が舞われるとき、そこには、勇壮な国家創生の英雄たちの物語と、古くからその土地に座し、人々の暮らしを見守り続けてきた土地神たちの織り成す絵巻が繰り広げられる。

焚き火の煙、焼酎の香り、太鼓の音。舞人、旅人、村人、子供たち。吹きすぎてゆく風、舞い散る小雪

御年104歳になる神楽の画家・彌勒祐徳(みろくすけのり)先生は、98歳頃まで現場に100号のキャンバスを持ち込んで描いておられたが、

――夜中の2時を過ぎた頃、神楽の神様が降りてくる・・・

と仰っていた。

私も、民家で観客の間に座って折り畳み式の小さな画帖を広げて描いたり、神楽の舞われる御神屋の脇に広げるロール式の90センチ×30メートルの大作を描いたりするが、その感覚は良くわかる。神が人に憑依し、人が神に変移する空間。今回、由布院・日田・南阿蘇・高千穂・西都の五会場を結んだ企画として自作を展示し、30年にわたる神楽探訪の旅の一端を辿った。それが次の旅への一歩となり、その地点から、また神楽の現場を訪ねる旅が始まった。日本の古層を探訪するはるかな旅路である。

「しいたけの館21」は村の中核施設。

100年も前から「山と共に生きる」を村是としてきた村の特産・椎茸をデザインしたおしゃれな建物だ。

会場入り口にも桂神楽の絵を飾った。

10月28日に迫った東京・国立能楽堂での公演に遠くから声援を送る心意である。

     ☆

【諸塚・桂正八幡神社の八幡様】

八幡神とは、

弓矢で狩りをした古<いにしへ>の神。

古代、精銅と製鉄の技術を持ち、北部九州に渡来し

宇佐八幡を本拠とし、全国の八幡神社の総鎮守として

歴史の舞台を彩ったが、

各地に点在する八幡神社はそれぞれに地方色を加えながら、

村の鎮守神として勧請され、信仰された。

中世以降、武神として信仰されて各地に勧請され、さらに分布を広げた。

豪壮な仮面をつけ、弓と矢を採り物に降臨する。

神楽「八幡」はこれを基底とする。

桂正八幡神社の八幡様はこれらの歴史的背景を持つ。

高千穂神楽として伝わったという記録を持ち

古形を残しながら伝承された稀有の神楽である。

戸数4戸の村で舞い継がれ、

7年に1度の大神楽は24時間をかけて開催される。

 

【笠取鬼神】

一夜舞い継がれた神楽の最終の演目で、

地主神である鬼神(荒神)が

注連柱から御神屋正面へと張られた綱に下げられた

「笠」または「日・月を象った円板」を

両手に掲げて舞い納める。

「笠」とは農耕神の象徴であり、

「日・月」は宇宙星宿の象徴。

めでたく成就した神楽を慶び、感謝して

神楽の場に降臨したすべての神々を

送り還す儀礼である。

     ☆

八幡神にも笠取鬼神にも多方面からの解釈があるが、筆者(高見)なりの見方を添えておこう。

森の空想ブログ<25-007>神楽と仮面の民俗誌<企画4>「木花咲耶媛伝承と海神の神楽」


「木花咲耶媛伝承と海神の神楽」

 
◇会場 木花ギャラリーtetote

◇会期 2025年10月10日から2026年3月31日

◇主催 木花ギャラリーtetote 宮崎県宮崎市木花 

「木花咲耶媛(コノハナノサクヤヒメ伝承)」を秘める木花地区に開設したギャラリー。染色家の黒木彰子さんが運営する染織と手仕事の工房。青島海岸を望むこの地域には、コノハナノサクヤヒメを祀る木花神社があります。この地は、桜川で分かれた桜子とその母の祖地ともされます。宮崎市から日南海岸へかけては、海神の神楽が伝わり「海幸彦」の伝承もあります。これらの取材で得られた小品を中心に随時展示してゆきます。彰子さんは息子の黒木アンジン君と共に友愛の森へ通い続けている常連です。アンジン君は大学の卒論で神楽と地域再生をテーマに現地取材をして書き上げました。ギャラリーは家族経営のため店主は夫君の運営する近くの温泉「このはなの湯」に不定期で応援に出ることがあります。御来場の際はご予約をお願いします。tel 090-3927-5607(担当・黒木彰子)

森の空想ブログ<25-00>「神楽と仮面の民俗誌<企画3>高千穂神楽画帖―神楽を伝える村からー」

神楽と仮面の民俗誌<企画3>「高千穂神楽画帖―神楽を伝える村からー」

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テーマ:

◇会場 友愛の森ギャラリー響界
◇会期10月10日~2026年3月30日まで
◇主催 森の空想ミュージアム/ギャラリー響界
 宮崎県西都市穂北5248 tel 090-5319-4167(担当・高見)
☆高千穂神楽のスケッチを中心に、神楽を伝える村の心象風景を展示しています。100年前に石井十次の福祉事業をともにした人たちが使っていた旧・教会が移転により空家になっていた施設。ここをギャラリーとして25年間、運営を続け、多くのアーティスト、作家、作品との出会いが生まれました。

*展示終了施設から順次公開してゆきます。 

#ミュージアム